ニール・ヤング監督・主演、DEVO出演 『ヒューマン・ハイウェイ ≪ディレクターズ・カット版≫』


"幻覚剤にまみれた『オズの魔法使い』" "あまりにひどくて大ヒット間違いなし!" とも云われた、ニール・ヤング幻の反核映画が、33年を経て<ディレクターズ・カット版>として日本初上映!!

DEVOのメンバーが働く核廃棄物処理場のある街がボブ・ディランの「風に吹かれて」を歌えないほど放射能で汚染されている中、ガソリンスタンドで働く自動車修理工は夢の中でネイティヴ・アメリカンと一緒に歌ったりコンサートを開き、隣接するダイナーのウェイトレスは気まぐれでコックは狂っていたが、最後には原発事故が起こり地球が終わってしまう。

ニール・ヤングが300万ドルの自己資金を投じ、完全なインディペンデント映画として1978年にサンフランシスコとニューメキシコ州にて撮影が開始。狂ったコックを演じたデニス・ホッパーは撮影現場にナイフを持参、そのナイフで行ったトリックで女優のサリー・カークランドは怪我をし、後年デニス・ホッパーを訴えた。

またニール・ヤングからの本作への出演オファーに驚きとともに大喜びしていたDEVOの面々だったが、いざ撮影現場に赴いたときデニス・ホッパーに遭遇、あまりにも狂い過ぎて台詞を一行も言えないホッパーの姿に恐れおののいた。ニール・ヤングは本映画をきっかけとしてDEVOのマーク・マザーズボウの助言と影響により、1979年のアルバム「RUST NEVER SLEEPS」を発表、当時台頭してきていたパンクロックへの共鳴を示すようなアルバムとなった。その中でも永遠に残る代表曲となったのが「Hey Hey, My My」。劇中ではニール・ヤングとDEVOの面々がこの曲で激烈な演奏を見せている。ニール・ヤングは本作で、ありふれた小さな田舎町での、平凡に生きる人々の平和で幸せな平凡な一日を描くことで、のんきに無関心で生活していると大変なこととなる、目先の小さなことでなく、視野を広げてより大きな状況をみなければならないことを訴えかける。

初公開時は88分だったが、長年なんとなく「未完成」であるとの思いを抱いていたニール・ヤングは2014年のトロント映画祭にて突如ディレクターズ・カット版を発表、80分に短縮され、全体のテンポもよりスピーディーな編集がなされている。ちなみにデニス・ホッパーが監督作『ラストムービー』(71)の狂乱で干されて以来久々の監督復帰作となった1980年の『アウト・オブ・ブルー』のタイトルはこの曲を元としており、テーマ曲も「Hey Hey, My My」となっている。
監督:バーナード・シェイキー(ニール・ヤング)<『イヤー・オブ・ザ・ホース』(97)『ニール・ヤング/グリーンデイル』(03)、ディーン・ストックウェル『パリ、テキサス』(84)『バックトラック/ハートに火をつけて』(89)>/ 脚本:バーナード・シェイキー、ディーン・ストックウェル、ラス・タンブリン、ジェームズ・ビシアーズ、ジャンヌ・フィールド/ 製作総指揮:エリオット・ラビノヴィッツ<『ニール・ヤング/ハート・オブ・ゴールド ~孤独の旅路~』(06)>/ 製作:L.A.ジョンソン<『ラスト・ワルツ』(78)『イヤー・オブ・ザ・ホース』(97)>/ 撮影:デヴィッド・マイヤーズ<『ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間』(70)『ロックンロール・エクスプロージョン』(73)>
ニール・ヤング:
『ラスト・ワルツ』(78)『イヤー・オブ・ザ・ホース』(97)『ニール・ヤング/グリーンデイル』(03)
DEVOの面々:
マーク・マザーズボウ、ジェラルド・V・キャセール、ロバート・マザーズボウ、ロバート・キャセール、アラン・マイヤース
デニス・ホッパー:
『イージー★ライダー』(69)『地獄の黙示録』(79)『悪魔のいけにえ2』(86)『トゥルー・ロマンス』(93)

ラス・タンブリン:『ウェスト・サイド物語』(61)『ジャンゴ 繋がれざる者』(12)、ディーン・ストックウェル『砂の惑星』(84)『ブルーベルベット』(86)/ ブージー・ボーイシャーロット・スチュワート:『イレイザーヘッド』(76)『トレマーズ』(89)/ サリー・カークランド:『スティング』(73)『スター誕生』(76)/ ジェラルディン・バロン:『殺人者はライフルを持っている!』(68)/
最悪の事態から生まれた小さな夢に、ニール・ヤングはすべてを賭ける。 悪いことばかりじゃない。われわれはいいことだってしてきた。 9.11の後も、そんな歌を彼は歌った。 スリーマイル島事故後のアメリカの物語は、2015年の日本の物語でもあるだろう。
                 樋口泰人(映画評論家)
1970年代、『エル・トポ』に始まり、『イレイザーヘッド』がしめたのが〈ミッドナイト・ムーヴィー〉熱狂史でありますが、『イレイザーヘッド』で、あのカワイイベイビーを見捨てて、姿を消したシャーロット・ステュアートはどこへ? それがあなた、女はこわい、とはこのこと。シャーロットはカリフォルニアの砂漠のダイナーのウエイトレスとして楽しく働き、歌い、踊り、この世こそ天国、エブリシング・イズ・ファインな毎日。あれまあ、隣接のガソリン・スタンド(オーナー、ディーン・ストックウエル)でトンチンカンと働くニール・ヤング様に色目過剰使用の日々ではありませんか。ヤング様メロメロ。ダイナー・コックが薬物過剰回復期のデニス・ホッパーとくれば、もはや映画ではありません、死刑です、セラピーです。至宝のバカ演技を見せるのがもちろん、ニール・ヤング本人。やばいですね、ハイ状態。本ヤバはディーボの放射能ハイ。ヒューマン・ハイウエイのハイ(High)がこれほど意味を持ったことはありませんです、ハイ。〈ミッドナイト・ムーヴィー〉のシステム亡き後、このトンデモ映画『ヒューマン・ハイウエイ』にふさわしい廃棄場所はなかなか見つからなかったのですが、ついにその場所を見つけた。これ以上の場所はない、という廃棄場所を!説明不要、アベ不要。それが、今回の〈レイトショー〉公開です。
                 滝本誠(評論家)
オリジナル:1982年、ディレクターズ・カット:2014年/アメリカ/80分/原題:HUMAN HIGHWAY
SHAKEY PICTURES (C) MMXIV
提供・配給:キングレコード/宣伝:ビーズインターナショナル/配給協力:アーク・フィルムズ